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坂倉準三設計、旧飯箸邸(現:ドメイヌ・ドゥ・ミクニ)

和歌山で国産木材と土・紙などの自然素材を用いた建築を行っております、

山下木造建築店です。


建築の書籍などで見た、憧れの建物にはできるだけ訪問したいものですが、

さすがに遠すぎてそのためだけには行けないな、という所もあります。

今回の旧飯箸邸はその最たるもので、一番見てみたい建物であるものの

長野県軽井沢町にあって、その付近に他に寄りたいところもないし、

そもそも遠いので一生訪れることはないのかも、と半ば諦めておりました。


今回、私は東京の新宿駅西口広場、配偶者は長野の八ヶ岳アルパカ牧場が

それぞれの訪れたい場所第一候補でしたので、

せっかく八ヶ岳まで行くのならこの機会を逃したらアカン、

ということで遂にその時が訪れました。


旧飯箸邸は坂倉準三の日本デビュー作として

世田谷区等々力に住宅として建てられたものですが、

のちに軽井沢町に移築され、フレンチレストランとして現在もその役目を果たしています。

三國清三さんのお店です。ご本人はいらっしゃるわけではないようです。

お店の事は詳しくないので何も語れません。


(食事の後、レストランの方に写真撮影の可否をおたずねしたところ、

快くおゆるしくださいましたので、ほかのお客様にご迷惑をおかけしないよう

注意しながら撮影させていただきました。)

アプローチ。

憧れすぎた建物である上、不慣れなフレンチレストランという事でガチガチに緊張。


建物の外観をそのままモチーフにしたロゴ。素敵!


玄関ホールから。


メインダイニング。ここでお食事いただきました。

書籍や雑誌を探し集めて見ていた建物に居るんだ、と不思議な気持ちだったな。


ダイニングを出て和室のほうへ。



坂倉準三さん設計の中座椅子がたくさん。


もちろん座らせていただきました。

脚が短く、座面高が低い。フォルムが可愛すぎる。


ここに住みたい。


ホール側を見る。


竿縁天井でした。


建築当時は長押はなかったと書いていたような。


和室出入り口。


階段。7段だけ上がって中2階。

緊張していて上がるのを忘れるという痛恨のミスを犯す。

この上からの眺めを見なければならなかったのに。


この中2階の存在がこの建物の重要なポイントになっていて、

メインダイニングに微妙で絶妙な位置に室内窓が存在し得るし、

外観のプロポーションにも大きな影響を与えているのだと思います。


普通にこういうプランをすると中2階の下になる1階が

天井の低い収納にしかならなかったりするのですが、

もともとの世田谷はこの部分の敷地が低くなっていて、

半地下状の倉庫として十分な天井高を確保できていたようです。

(間違えていたらすみません。)


中2階を外から見るとこんな感じ。

右側の窓や、真ん中に見える縁が微妙な高さに。当然屋根も。

1階でもなく、2階でもない。この絶妙な高さの違和感がかっこいい。


庭から。写真で何度も見た、偏心切妻大屋根。

確か瓦葺きなのに3寸勾配と緩い勾配だったような。

一見平屋っぽいですが、先に書いたように中2階があるので平屋ではありません。

「2階」ではなく「中2階」だからこそのプロポーション。かっこ良すぎます。


当初はバタフライ屋根を架ける予定だったが・・・という話を

西澤文隆さんの書籍で読みました。

「坂倉先生と私の間」の章と、

西澤さんの病気のあたりの文章はめちゃくちゃ笑えて、

お二方の事が好きになってしまいます。



シャルロット・ぺリアンがデザインした扉から着想を得た

(西澤文隆さんの著書には諏訪神社の唐戸から、とあるので

そちらが正しいのではないのでしょうか。)という、

ここの見せ場の大きな扉が見えづらい。


坂倉さんが現場で思いついたという通気口の形。この建物の象徴的なデザイン。


棟木・母屋は外壁から突き出す部分だけ化粧材で継ぎ足していたことが

解体・移築時に発見されたそうです。

納まり的にそうする意味が私には理解しきれていないのですが、

見えない部分は野材の構造材、見える部分は化粧材としたのでしょうか。

でも予算たっぷりの現場だったとも書いていたし。何故だろうか。


和室を外から見る。L形に縁側が廻ります。




ディテールも手が込んでます。

作る側の目で見ると、大変だけど美しく作るには

必要な手間なので嫌いではないです。


以上、中2階に上がるのを忘れるミスはあったものの、

充実しすぎて放心状態になるくらい楽しめました。

見るべきところを見れたのか、

また見て体感することで確かに得るものはあったのか、

自問自答するのはいつものことですが、

楽しかったことは紛れもない事実。来てよかった。


あと、思いもよらなかったのですが、

食べ慣れていないフレンチがめちゃくちゃ美味しかった。

わかる人にしかわからない味なんだろうな、と思っていたのですが、

私ごときでも美味しく感じられたので、これはまったく想定外の発見でした。


建物もお食事も楽しめて、近くに(実は案外遠かったけど)八ヶ岳アルパカ牧場があって、

ここに来る途中で牛がいる広い牧場や、ビックリするほどきれいな白樺も見られる。

これは下手したらまた来るんじゃないかと思ってます。


今日はここまで。

またよろしくお願いします!



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