和歌山で国産木材と土・紙などの自然素材を用いた建築を行っております、
山下木造建築店です。
2年ほど前に、ようやく植物の美しさや、育てる喜び、大変さを知りました。
きっかけは屏風や掛け軸の中に描かれる植物の美しさに気づけたこと。
それまで美術館に行っても、目的の展示以外で見かける日本画の良さに気づけず、
見ているふりをしてサラッと通るだけ。
しかし2年前、テレビで尾形光琳の「躑躅図(つつじず)」や、
本阿弥光悦・俵谷宗達の合作を見て、第3の目が開くのを確実に感じました。
それ以降、これまで楽しめなかった日本画ですが、
花や植物、鳥などの動物を描いたものは好んで見るようになり、
そしてさらに勢いづいて、描かれている植物を自ら育て始めたのです。

まずはナツヅタ。秋には紅葉し、冬は葉を落とします。
幼い葉は基本的に3枚一組のこの形。
小さいまま盆栽風に育ててみようかな。

屋外にもナツヅタ。壁面に吸着してドンドン登る。
少し成長すると葉の形が変わってきます。
ほったらかしにしていたら、3年目で2階建て相当の倉庫の軒まで到達。

ツタを育てようと思わされた俵谷宗達「蔦の細道図屏風」。
金と緑だけ。

キヅタも数本育ててます。こちらは常緑で冬も葉が落ちないので
フユヅタとも呼ばれるそうです。
育て始めて気づいたのですが、ナツヅタ、フユヅタ、
いずれもその辺に自生しまくってます。
江戸時代の絵画に描かれているのですから、考えてみれば当然ですね。


桔梗(キキョウ)。育てやすいのか普通に水をやるだけで
毎年花を咲かせてくれます。しかも夏と秋、年2回咲くのは知りませんでした。
父が言うには、昔は桔梗もその辺に自生していて、
採って花屋さんに持っていったら買い取ってくれたらしいです。

酒井抱一、「槙に秋草図屏風」。桔梗もしばしば絵画のモチーフになってます。

スイカズラ。3年目で初めて咲きました。複雑な花びらの形をしています。


突然の西洋画ですが、
「スイカズラの木陰のルーベンスとイサベラブラント」。
「王の画家にして、画家の王」ルーベンスと、若くして亡くなった最初の奥様との肖像画。
お二人の表情や重ね合わせた手から幸せしか伝わってきません。
実物は見たことないですが、実物大の複製画が徳島の大塚国際美術館にありました。
ルーベンスについては以前ブログに書いたことがありますので、
ご興味を持っていただけた方は、
「「ルーベンス展(バロックの誕生)」、東京の国立西洋美術館へ 」
こちらもどうぞご覧になってください。

マドンナリリー。
日本のユリとは異なり、湿気の多い気候では育てづらいそうで、
2年目で初めて花は咲きましたが元気よくという感じではなかったです。

ムリーリョの「受胎告知」。
聖母マリアさんの傍に花瓶に入った真っ白なユリが描かれています。
と、ほとんど仕事しか楽しみの無い私でしたが、
2年前からこっそりこのようなことを楽しんでました。
しかし植物を育てるのは大変で、仕事が忙しくなるとお世話がおろそかになり、
妻や父に助けてもらって何とか枯らさずに持ちこたえている、
という感じです。
いろいろな植物に興味は出てきますが、むやみに増やすべきではないと
自分を戒めております。
今日はここまで。
またよろしくお願いします